
タダじゃない⁉︎スウェーデンの病院・歯医者
スウェーデンの医療費無料の裏側!
こんにちは。
北欧スウェーデンと言えば、特にスウェーデンに興味がない方でも高福祉社会、医療費無料の国と言った印象をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
しかし、これは表向きの話でして。
実際のスウェーデンの医療がどんなものか、体験話を含めご紹介していきたいと思います。
子供は医療費無料!大人は??
まず、“医療費無料”という点ですがスウェーデンでは18歳以下は医療費が完全無料です。歯医者も無料で、矯正治療も含め24歳以下が無料になります。
歯科矯正も無料!だなんて羨ましい限り!ただし、程度により有料になることもあるそうです。わざわざ治さなくてもいいような小さな矯正治療は歯科医師の判断により無料治療対象外となるんだそうです。
さて、“18歳以下の子供は無料”と言うことは、18歳以上になるとどうなるでしょう?
そうなんです。実際にはスウェーデンでは
18歳以上は医療費有料、24歳からは歯科治療も有料
ということになります。
日本のメディアでも盛んに“スウェーデンは医療費が無料”と言われていますが、実際は成人したあとは医療費がかかるようになります。
と言いましたが、治療費支払いには上限があり、実はごくごく一部の負担です。さらにその上限を超えるとFrikort(フリーカード)と言い、ここで初めて医療費が完全無料になるんです。上限に達した日から一年間医療費がかかりません。
まず、年間で診察費が1150クローナ(約1万4千円)、処方箋がある薬代が2300クローナ(約2万7千円)までは自己負担になります。これら医療負担費を“Patientavgifter”と言います。
この医療費控除はとても有り難いですが、幸運にも健康で滅多に病院にかからないのであれば、あまり有難みのない制度かなと個人的には思います。
なぜそう思うのかを説明をする前に、まずはスウェーデンで病院に行きたいときにどうすればいいのかご紹介します。
※金額は2019年3月の為替レートで換算
病院に行く前にすること
スウェーデンでもし病院に行きたい場合はまず《1177(エルバフッティーフー)》番に電話をかけます(※眼科など個人クリニックでしたら直接電話、予約することもできます) ここは“Vårdgaiden”と言う24時間電話対応している健康相談窓口のようなものです。
そこでオペレーターの看護師に症状を伝えます。症状を聞いて市販薬を飲んで様子を見るように言われることもありますし、即日クリニックの予約を入れてくれる場合もあります。
緊急電話(SOS Alarm)の場合には《112》番に電話しましょう。こちらは救急車の手配など対応してくれます。
筆者は皮膚炎がなかなか治らなくて1177に電話してクリニックにも2回行きましたが、正直に言って行った意味はなかったですね。
1回目は血液検査のために採血してだけで、薬も出されず帰らされました。要するに“もう少し様子見して”と言うことです。根本的な治療はされなかったので、5年経った今でも原因不明の皮膚トラブルがあります。
歯科先進国のスウェーデン
次に24歳以上の歯科治療費ですが、病院と違って自由診療のためべらぼうに高いです。30分ほどで終わるような歯科検診だけで約8000円します。さらに歯石取りは歯科検診とは別料金で1万円程します。高いですねー。
パーソナルナンバーがある国民には歯科治療に使える補助金があり
■23歳から29歳、65歳以上は年間600クローナ(約7200円)
■30歳から64歳は年間300クローナ(約3600円)
が国から出ますが、使わなかった一年間分は繰り越せるにも関わらず、大体は一回の診察・治療で使い切ります。
高額治療費にも控除がありますが、対象は3000クローナ(約3万6千円)以上からになり、3000クローナの治療費は半額になりますが、それでも1500クローナ(約1万8千円)の治療代は高いですよね。
さらに15000クローナ(約18万)の治療費になると85パーセントの控除が受けられます。15%の自己負担になるので、2250クローナ(約2万7千円)の負担額になりますね。
スウェーデンを始め北欧諸国は歯科先進国と言われますが、実際に暮らしてみると本当にそうだなと実感することが出来ます。
国民の口腔ケアに対する意識が高いんでしょうね。若年層はもちろん、どんなに高齢の方でも銀歯がある方はほぼいません。
これにはスウェーデンや欧米諸国では治療にそもそも銀が使われないからだそうですが、日本では安価で硬い材質の銀が現在でもまだ使われていますね。
耳が痛い言葉ですが、虫歯は自己責任!歯は毎日しっかり磨きましょう!
※為替レートは2019年時です。
〜医療費無料の闇パート1 〜
次に『診察にかかるまで〜医療費無料の闇パート1 〜』をお送りします。
前述のように体調が悪い場合《1177》にまず電話しますよね。
オペレーターの判断で病院での診察が必要と判断されたときは診察の予約を入れてくれますが、緊急でない限りこれが早くて1ヶ月先が普通です。
先ほど説明したように、クリニックであれば当日でも予約を受け付けてくれる場合もありますが、国公立の病院は診察受けられるまで1ヶ月から2ヶ月ぐらい待つのが当たり前です。
筆者は先日、歯石取りの予約を入れるのに公立の歯科医院に電話したところ、3ヶ月先の日付を言われました。
それも予約が先すぎて「予約確定の保証はありません」とまで言われたので、個人歯科医院の歯医者さんに予約し直しました。そちらはその週に予約できました。
現在も皮膚科受診を予約していますが、それも1ヶ月半待ちです。これが医療費無料の現状でもあります。
〜医療費無料の闇パート2 〜
お次も〜医療費無料の闇パート2〜『筆者の救急外来体験』をお送りします。筆者は一度だけ救急外来に行ったことがあります。
噂では「すごく待たされる、朝イチで行っても診てもらうのは夜だった」などと聞いていたのでヒヤヒヤしながら救急外来に行くことに。
ただ骨折してるかどうかを見てもらいたかっただけなんですけどね。
病棟に入った瞬間、あっちこっち患者さんがいるのが見えました。待合室はと言うと、夕方過ぎだというのに患者と付き添いの家族でいっぱい。
人いっぱいの待合室が嫌なのか廊下でウロウロして待ってる人、座り込んでいる人、廊下のストレッチャーに寝かされ待ってる人、子供が痛みと恐怖で泣き喚いていようとお構いなしに放置。
ただただ順番に呼ばれるのを待ちます。
もうカオスでしたよ。大事故でもあったかのように救急外来は患者で溢れ返っていました。でもこれが平常モードだそう。
大きな病院でも救急外来はお医者さん一人で見ることもあるとか。
交通事故があって緊急手術でもあろうものなら、その他の軽症患者はひたすら待つしかないんです。
待合室で隣の席だったおじいさんは昼過ぎに来たそう。そして診察に呼ばれたのが深夜1時過ぎでした。約12時間待って医者に診てもらえる、聞いていた話は本当でした。
おじいさんのあとにも待ってる患者さんが沢山いたので(つまり自分の前にも診察待ちの患者が大勢いる)これは自分たちも確実に12時間待ちだと確信して、病院を出ました。
結果的に骨に異常はなかったので良かったのですが、救急外来で行った病院には「何も診てないから医療費は請求しないよ」と言われていたのに後日5000円ほどの請求書が自宅に届きました。電話して取り消して貰えたのでよかったですが。
*
以上、私が見たスウェーデンの高福祉社会の現実をお届けしました。
病院にかかりすぎと言われる日本人ですが、“少しの負担でいつでも診てもらえる日本”と、“ほとんど負担はないけど、すぐ診てもらえないスウェーデン”、どちらが良い制度なのでしょうね?
最後までお読みくださりありがとうございました!
*
Photos by Pixabay

