太っていい火曜日!『Fettisdagen』
今年(2019年)は例年より遅めのあの日がもうすぐやって来る!
この時期になるとカフェなどでよく見かけるスウェーデン伝統のデザートがあります。
丸いパンを横に半分に切って、中にたっぷり生クリームが入ったそれは、スウェーデンの焼き菓子『セムラ』と言います。
既に1月頃からカフェやスーパーなどでたくさんのセムラ(Semla*複数形:Semlor)が棚に並んでいて、正直いつ食べても良いものなのですが、実はこの“セムラを食べる日”というのがもうすぐやって来るのです。
例年であれば2月頃にその日が来るんですが、毎年日付が変わるため今年(2019年)は3月に入ってから。
今回は『なぜ日付が変わるの?セムラってどんなデザート?』についてご紹介していきたいと思います。
セムラを食べる日
そのセムラを食べる日をスウェーデンでは『Fettisdagen(フェッティスドーゲン)』と言います。日本語では『パンケーキ・デイ』と訳されるようです。
このFettisdagenはキリスト教の伝統的な慣習です。クリスマスやイースターのようなイベントの日のようなものに近いかもしれません。
現在はクリスマスのように厳密にその日に行われるのではなく、先に述べたように1月に入るとセムラを食べる日が始まって、そのFettisdagenの日まで続くと言った感じです。
なぜこのFettisdagenという日があるのかというと、昔はキリスト教の風習でイースターの46日前の“灰の水曜日”からイースター前日まで断食が行われていたんだそうです。
その断食期間を前に、昔は高価だったカロリーの高い美味しい食べ物やデザートを食べていた日が、この“Fettisdagen”です。
なぜこの名前なのか?
スウェーデン語の“Fet”は『脂肪、太る』と言う意味で英語だと“Fat”、 “tisdagen” は英語では“The Tuseday ”になります。二つを繋げて“Fettisdagen”となり、直訳するとまさに『脂肪の火曜日』と言う意味になりますね。
イースターは毎年その日が変わる移動祝日で、『春分の日後の最初の満月の次の日曜日』に祝われます。
その日曜日の47日前が毎年火曜日になるため、ファットな食べ物を食べる火曜日、すなわちこれが“Fettisdagen”と言われる所以です。
イースターはスウェーデン語では『Påsk“ポスク”』と言います。イースター休暇( Påsklov:ポスクロヴ)も今年は例年より遅れて4月21日の日曜日の週になりますね。
この47日前ですから今年のFerrisdagenは3月5日になります。早い年だと2月の2週目にあるので、今年はたっぷりセムラを食べられます。
セムラとは?カルダモンって何?
筆者が始めてセムラを見たときはシュークリームみたいだなと思いましたが、全く味も食感も違うものでした。
外の皮はシューではなく、カルダモン入りのパンです。『カルダモン』はインド近郊原産のスパイスで、レモンのような爽やかな香りがします。
スウェーデン発祥と言われるシナモンロール『カネルブッレ(Kanellbulle)』にも、このカルダモンスパイスが入っているものがあります。
このカルダモン入りのパンを横に切るか、ハサミで上部を三角形に切り取ります。そして中のパン生地を少し掘るように削ります。
削りカスとアーモンドペーストと牛乳を混ぜてクリームを作り、それを掘ったパンの中に入れ、アーモンドペーストを隠すように上からスウェーデン流砂糖なし生クリームをたっぷりのせます。そして最初に切ったパンの上部をクリームの上に乗せて粉砂糖を振って頂きます。
このカルダモンスパイスと全く甘くない生クリームは慣れるまで時間がかかる方もいるかと思います。筆者はそのタイプでした。スウェーデンの砂糖なし生クリームのケーキも同様です。慣れるとこのセムラも美味しく食べれますよ。
いかがでしたか?
現代はいつでも美味しいデザートを食べられる時代ですが、戦後の1952年には、スウェーデン南部の街マルメのベーカリー屋さんがその年のFettisdagenよりだいぶ早くにセムラを売り始め、警察に没収され罰金まで支払ったという出来事もあったそう。
美味しいものを好きなだけ食べれる今の時代に感謝して、2019年3月5日の火曜日は“太る美味しいデザート”を頂きましょう!
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